平成14年4月の新刊(著者名50音順)


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  綾部光芳歌集  響叢書  A5判/248頁/3000円 

晩年に一歩踏み出した著者の、より切実な思いが結晶化された第四歌集――清涼感溢れる作品が、個の内部に沁み込んでゆくに違いない。

 
 容赦なく奪はるることを老いといふ奪はるることのいくつもありて
 沸点を越えたる液は身軽なりわがたましひは これからは 風
 果物倉庫 岡田泰子歌集  かりん叢書  四六判/208頁/2500円 

夫の愛を心の拠り所として障害を持つ兄と夫の三人暮らしの著者――主観と客観のまじった奇妙な感覚を、温かな人間味を以て歌う第一歌集。序・馬場あき子氏 

 
 風の向きに撓へる立ち木空にあり果物倉庫に働く兄は
 形見分けの母の和 笥施錠せし抽出しいまだ開けられぬまま
 木彫の鳩 小川玲歌集  林間叢書 A5判/232頁/2500

医療ミスで亡くなった夫君に捧げる第四歌集。――慟哭は歌の力となり、歌は悲嘆悲憤を越えて、新しく出会った事象といきいきと感応する。             


 夫在ると在らざることの差に眩む肩に触れたる風の手ざわり
 一人前の女はそんなに泣かないよ 娘にたしなめられておりわが猫は
 風の言葉 栗原連子歌集  響叢書   四六判/224頁/2500円

秋田北部、雪国大館での幼年時代を歌の原点とし、詩的世界の中で日常と非日常の間を自由に行き来する著者の第一歌集。跋・綾部光芳氏
 

 草を食み囲いの中に生るる糸たしかに虫よ繭という文字
  エプロンを高くほうりて夏空の燃ゆる陽ざしに溶かせてみたき
  父の製図器   陣内直樹歌集  まひる野叢書 四六判/224頁/2500円 

建設会社研究職として、本四連絡橋現地実験に携わり、文芸と技術者の二つの道を歩んだ30年の成果を収める第一歌集。
 
 
 父が遺愛の製図器セットに烏口象牙の軸の折れて残れり
 若き技師漢字電報を発明すと昭和く九年のよみうり読売新聞に父よ
 残心の賦   瀧山美彌子歌集   氷原叢書 A5判/216頁/2500円

剣道を嗜む著者が「残心」の語に思いと託した第一歌集――亡き夫への深い追慕の情に支えられる、独りの日々を詠う。序・石本隆一氏


 水流に尾を曳くごとく緑濃き藻は直線となりて耀ふ
 冬山とひとり荷を負ひゆく男のはるかとなりて鈴の音のこる
 ひまわり 寺井松枝歌集  四六判/200頁/2500円

広やかな心と行動力で米寿を前向きに生きる著者の第一歌集。めまぐるしく変化する社会の断片を一首の核として提示し、揺るぎない。跋・奈賀美和子氏
 
 
 手間どりて入れたる切符が突っ走る自動改札機械の中を
 難民の子らに届けん詰め終えしピースバッグの紐をしめたり
 天 秤 ときえだひろこ歌集   四六判/各104頁/1500円

天秤の微妙な動きが大好きと語る著者が、450首の作品を金・銀二つの巻に分け、母の卒寿、夫の古希の贈り物として編んだ第二歌集。

 
 観測船白鳳丸の遠洋に出でしとき一人っ子はこころ乱れず
 フーコーの振り子のように経巡りて止まずや老いの迷いというは
 鳥もいろいろ 直木田鶴子歌集   龍叢書 A5判/200頁/3000円

「巧言令色という気ぶりは微塵もなく率直で思いやりが」と栞に石川不二子氏が書かれる著者は岡山県歌界に、また龍短歌会に力を尽す歌人。 その実力の第四歌集。跋・小宮山輝氏。栞・岡井隆氏。

 
 るいるいの魚卵を箸にくづしつつ女は嫌ひ男が嫌ひ
 張り倒すなどといふ発想もたぬゆゑ女には女のつき合ひがある
 初列風切 長野瑞子歌集   ポトナム叢書 A5判/208頁/2500円

「初列風切」という鳥の翼の名の雅びなひびきに魅せられたと語る著者が、自らの飛翔への願望を歌に託した第一歌集。跋・金子元英氏

 
 小雨覆 大雨覆 初列風切 鳥の翼に名称ありき
 紅梅は華やぎながら散りいそぐ元の老い木へ還らんとして
 夢の触手 野田光介歌集   やまなみ叢書  四六判/224頁/2000円

「一巻は、湿潤な抒情を払拭した世界に詩的思惟を
かさねてゆく快さが、存在する。」
昭和29年、19歳の時、「短歌研究」50首詠応募作が、同年11月号<十代作品特集>に掲載された作者の、一時中断後、不惑にして作歌復帰した、以降二十数年を経ての第一歌集
序・水落博氏


 
 電線の唸れる闇へわが夢の触手いくども伸びては切るる
 ああお帰り 夜明けの白い河からぬれそぼちくるわが魂よ
 風の暦 萩野晃子歌集   続かりん百番  A5判/184頁/2500円

人生そのもののように身に通り過ぎていく風を、深く熱く静かに思い、スケール大きく豊かに歌い上げた第一歌集。序・岩田正氏

 
 早春の野辺にまなこを閉ぢて聴く草生を渡る漂泊の歌
 隠れ家にはるか哀しみ満ち満ちて生きた証の「アンネの日記」