短歌研究社 2008年6月刊 歌集・歌書

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『世界をのぞむ家』

三枝昂之歌集『世界をのぞむ家』

2008.6.16刊/四六判/224頁
定価3,150円(本体3,000円)
ISBN 978-4-86272-106-8

初期カミュの創作ノートに「世界をのぞむ家」という言葉がしばしば登場する。若き日の私はその言葉に立ち止まり、いつかこのタイトルの歌集を出したいと考え、そしてそのままになっていた。若い頃と還暦を越えた今とでは世界の向き合い方は違うが、人生と時代のさまざまな起伏を見つめた本歌集にふさわしいと感じ、歌集名とした。(著者あとがきより) 第十歌集。

初雪やてのひらに受け歩を止めてみんな近しき人となる街
青空の見えぬ星へと還りたり光は夜ごと机上に届く
晩年のアルベール・カミュ故国とう夢に続きはあったのだろうか
裏庭の南天桐が実を結ぶ「升さん」と呼ぶ声が聞こえる
水仙が咲きてえにしはなお遠し龍太好みの春隣りなり
海を見しことなき母よ昨日今日われはあなたの一生である


『卯月みなづき』

武田弘之歌集『卯月みなづき』

2008.6.2刊/四六判/176頁
定価2,800円(本体2,667円)
ISBN978-4-86272-103-7

コスモス選者の6年ぶり第六歌集
できることなら宮柊二先生のお齢まであと二年永らえたいと病中に願ったが、奇蹟的に快癒して平成十九年四月に満七十五歳を迎えた。その感激が今も強く胸の内にある。同年六月には妹の急逝に遇い、やる方のない思いを〈みなづき抄〉に詠んだ。卯月と水無月に特別の感慨をこめた歌集である。(著者あとがき)

歌作るとき思ひ出す言葉一つ「泉は自分の足元に湧く」
病院にいのちあやふく運ばれき去年の今日の今のこの時
母逝きてふたたびの秋 没つ日にうろこの光る雲を眩しむ
ひらがなのやうな温とさカタカナのごとき鋭さともに持つひと
妹を水無月二日この世より攫ひ行きたりにつくき癌が
「がんばれ」と言葉少なく握手して別れしが終の逢瀬なりけり


『砂幸彦』

三井修歌集『砂幸彦』

塔21世紀叢書
2008.6.16刊/A5判/232頁
定価3,000円(本体2,857円)
ISBN978-4-86272-107-5

手榴弾と海鞘はどこか似ていて、でも決定的に違う。手榴弾の作動の仕方を知らなければ生き延びられないような場面が世界にはあるのに、自分は初秋の日本で海鞘を食べているんだという感慨。ここに鋭い批評性が感じられます。(穂村弘・帯)

手榴弾作動の仕方も知らぬまま生きて初秋の海鞘を食みおり
木のドアを押せばいきなり展示室さびしき裸婦の瞳に出会う
画学生遺作の〈海につづく道〉藍深き海は右上にある
帰り来て幾年砂漠の夕焼けの記憶はありやわが砂幸彦に
遺書とうを未だ書きたることのなし 薄き落暉が山端にかかる
初秋の十二階なる窓の外海より鯨の来ておらずやも
逢いにいくとう甘やかなことなどもありしかな今日の午後の明るさ


『記憶一樹』

桐原富貴子歌集『記憶一樹』

橄欖叢書・茨城歌人叢書
2008.6.28刊/A5判/216頁
定価2,800円(本体2,667円)
ISBN 978-4-86272-106-6

歌とは過去を想起し、未来へ繋がっていくもの。そのイメージを膨らますため、「自分の中に一本の記憶の樹を育てたい」と願う著者の第一歌集。序・青木祥太。

遠目にはうすべに桜 花びらのひとつひとつは白き闇もつ
箸は神と人とを繋ぐよりしろを話題となして本膳の席
貧しくも誰のでもないわが短歌の記憶一樹のぐんぐん太れ
さざなみにビルの灯揺れて絶え間なく自浄するらし夜の街川


『天の纜』

瀧山美彌子歌集『天の纜』

氷原叢書
2008.6.10刊/A5判/228頁
定価2,940円(本体28500円)
ISBN978-4-86272-101-3

剣の道と歌の道、二つの道を歩み、石本隆一師にかつて「対象と自己が見定められ、よく本質が把握されている」と評された著者の、『残心の賦』に続く第二歌集。

湧き出づる入道雲を君と見し片瀬の岩場われの定点
剣先の微動だにせぬ面の奥燃ゆるがごとき眼光に会ふ
冴え返る富士を映して鎮もれる湖は蔵へりわが歳月も
玉の緒のはかる術なきわが命なほ見むゆめや天の纜


『スピカ』

郷司厚子歌集『スピカ』

槻の木叢書
2008.6.10刊/四六判/200頁
定価3,150円(本体3,000円)
ISBN978-4-86272-097-9

おとめ座の首星「スピカ」を歌集名とした著者が、亡き恩師大石須磨子への思い、母と姑を失った悲しみ、星や自然の様々を歌い、自らの抒情を求めた第一歌集。序・来嶋靖生。

一夜一夜スピカに近づく朱き星裡に燃えゐて消えざる
火種かがまりて貝殻拾ふ師のすがた後ろに佇ちてわれは見守りき
羊追ひ星と語りし世もあるに争ひ絶えぬ星座のふる里
彼の日々のわれを見るかも張り裂けむばかりに弓を張れる宵月


『花も花なる』

貞刈みどり歌集『花も花なる』

朔日叢書
2008.6.16刊/四六判/208頁
定価2,500円(本体2,381円)
ISBN978-4-86272-105-1

菅原道真ゆかりの太宰府市に住み、長年随筆を書き綴ってきた著者が、60代より短歌を始め、玄界灘や耳納連山をはじめとする九州の自然や旅を歌った第一歌集。序・外塚喬。

霜の朝櫨の紅葉は鮮やかに四王寺山に波うちてをり
夏茱萸の熟れたるを見る朝の路母の散歩の楽しみふえる
摘花する花とも知らず蜜蜂の羽音かすかに飛び交ひてゐる
すべりひゆ草の名に似ず草とりの手をわづらはすぷつりと