短歌研究社刊 歌集・歌書

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『ちろりに過ぐる』

森井マスミ歌集『ちろりに過ぐる』

2009.8.7刊/四六判/212頁
定価3,240円(本体3,000円)
ISBN 978-4-86272-121-9

ゆるぎない表現意志に貫かれた一巻として、緊張しつつ作品を読みすすんだ。時には短歌の反歌としての生理を駆使して、あるいは、韻律により物語を語り直し、さらには、元の作品から受けた刺激を昇華して、新たな表現として生誕させるという試みがなされている。(帯文・藤原龍一郎)

(世間はちろりに過ぐる)待つといふ長すぎる時間さへも、ちろりに
待つことは天秤のやうからだからひとつづつ錘をとりだして
置いてきたビニール傘の白銀にだれかの指がふれた氣がする
みづすまし水より軽きたましひの圓みづからを閉ざしてやさし
長き夜のこころの沖に海ほたる冥き光の尾はただよへり


○○○

岡田泰子歌集『かさこ地蔵』

かりん叢書
2009.8.8刊/四六判/216頁
定価2,571円(本体2,381円)
ISBN 978-4-86272-168-6

作者の優しさや祈りは静かだが、かならずたしかな行動となってあらわれる。痛みや悲しみを抱える世界への深くてつよい眼差しが忘れがたい。(米川千嘉子「帯」)

秋ふかく飯桐は答ふ年下になりたる母をかあさんと呼べば
わが生れしときから障害児兄はゐて兄のなければわが生あらず
頂上のなき上野山やはらかし競はず気負はず桜を咲かす
兄の治癒願ひを込めてわが縫へる『かさこ地蔵』の一針づつを


○○○

松井芳子歌集『望楼』

香蘭叢書
2009.8.14刊/四六判/216頁
定価2,571円(本体2,381円)
ISBN 978-4-86272-164-8

生粋の浜っ子で、現在も横浜の高層住宅に住む著者。我が家を「望楼」と詠い、「此処よりも高みへ」という憧れを籠めて歌集名とした第一歌集。(跋・千々和久幸)

梅雨の雨みづがね色に降りこめて窓を望楼のごとくに灯す
退職の夫が職場に使ひゐし志野の湯呑といふを手にする
音程を徐々に上げつつ満ちてゆく朝のポットに注がるる湯は
たそがれの駅構内のコンサート五分ほど聞くパンを抱へて


山岸登民雄歌集『3Bの鉛筆』

コスモス叢書
2009.8.20刊/四六判/216頁
定価2,777円(本体2,571円)
ISBN 978-4-86272-166-2

『3Bの鉛筆』の詩は修羅の祈りとでもいうべき勁い深遠なものを湛えている。才を恃まず、終生病と闘いながら、ひたすらに励んだ歌人だ。第一歌集。(仲宗角「帯」より)

宮先生愛用されし3Bの鉛筆十本常に尖らす
昼一年の乳量漏れ無く記録されし功労牛なり肉に売らるる
糖尿の妻に与へむ十五種の野菜の種播く春疾風の後
氷点下二十度超ゆる予報聞き朝に履く靴茶の間に並ぶ