短歌研究社刊 歌集・歌書

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『マトリョーシカ』

浦河奈々歌集『マトリョーシカ』

かりん叢書
2009.9.17刊/四六判/176頁
定価2,700円(本体2,500円)
ISBN 978-4-86272-167-9

あらゆる存在に対するかすかな怖れと追尋―浦河の歌はその怖れを凌駕しようとする生命力そのものであり、豊饒な生の苦い屈折を表現する。(馬場あき子・帯)

シャンパーニュの泡をみてをり何もせず消えてゆくこと怖いだらうか
白孔雀も月下美人も生きるとは展くことなり吾はくるしゑ
ああマトリョーシカ開ければ無上なる怖さ 人より出でてまた人となる
おたがひをウイルスとしてかはりばんこに発熱してゐた婚一年目


『狐の宴』

稲葉きい子歌集『狐の宴』

碑叢書
2009.9.5刊/四六判/224頁
定価2,571円(本体2,381円)
ISBN 978-4-86272-163-1

稲葉さんの古里は渡良瀬遊水地の一角にある。作品の底に流れる情感、心の強靭さなど、彼女が持つ生得のものは、ここで育まれたものであろう。(関田史郎「跋」より)

微睡みて聞く安堵感隣室の夫の打ちゐるパソコンの音
展覧会の花材と決めし浮き草の保つ盥に隙なく殖ゆる
風は火を目覚めさすらし折をりに鳴り合ひながら葦燃え盛る
遊水地の冬の芝原温ければ月夜に狐の宴はあらむ


蛍ごまんと

大和田晋一歌集『螢ごまんと』

運河叢書
2009.9.9刊/四六判/240頁
定価2,700円(本体2,500円)
ISBN 978-4-86272-170-9

戦前より作歌を始め、2年2ヶ月のシベリア抑留を経て昭和22年帰国。今秋92歳となる著者が、83歳から91歳までの作品を纏めた第四歌集。

靴の紐解けてそのまま歩を運ぶ体を折るは大儀となりて
三十年経て会ひ得しがその人の意思にてのちの会ひなかりけり
子を持てる子のをりたれば二の次の存在として老齢を積む
父死別母生別の幼にて螢ごまんと飛ぶ畦にゐき


余光の橋

草野源一郎歌集『余光の橋』

やまなみ叢書
2009.9.17刊/A5判/200頁
定価3,240円(本体3,000円)
ISBN 978-4-86272-171-6

平成13年の『本明川』出版から六年ぶりとなる「やまなみ」代表の第三歌集。「やまなみ」入会から60余年、諫早に医院を開業して50年。自身の病を養いつつ編んだ珠玉の473首。

黒き椅子倒しまどろむ昼更けを寒九の雨か音やはらかし
取り返しつかぬはつかぬままによし生き遂ぐるべき齢となりて
外に出でて負のいくばくを払はむか妻と余光の橋渡りゆく
病める身に近々と来て水鳥は冬のひかりを頒かちゆきたり


洒涙雨

佐野琇子歌集『洒涙雨』

2009.9.30刊/四六判/184頁
定価2,571円(本体2,381円)
ISBN 978-4-86272-169-3

『洒涙雨』とは『七夕に降る雨』という。じつによい語をつかんだものである。『会えなかった二人の恨みの雨とも、別れの雨とも』――歌集の雰囲気によく合った命名であると思う。(足立敏彦「序」より)

待つといふ文字ケータイに煌めきてわが思ひ草さやと揺れたり
さめぎはの夢にあなたを見うしなふ夢のむかうは茫と雪ふり
君はまだ星の船には乗れないよ夜更けてそつと囁くのはだれ
洒涙雨とふを聴きをりしつしつとひねもす雨降り七月六日