短歌研究社刊 最新刊歌集・歌書

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大女伝説

松村由利子歌集『大女伝説』

2010.5.11刊/四六版/176頁
定価2,700円(本体2,500円)
ISBN 978-4-86272-199-0

短歌研究賞受賞作「遠き鯨影」を含む壮大な意欲作。
・あざやかな切り口……岡井隆
・想念の自在な広がり……馬場あき子
・感性のやわらかさ………石川不二子

六月の鯨うつくし墨色の大きなる背を雨にけぶらせ
日に三度兆すかなしみ闇いくつ呑みて鯨となるわたくしか
母は所詮さみしき運河ファーブルの息子も昆虫学者なりけり
ちよちよと文鳥啼きぬ三重吉は小鳥のような女好みき
大女死すごと大き物語死して世界は荒涼とせり


乳房雲

田中教子歌集『乳房雲』

2010.5.12刊/四六版/216頁
定価1,620円(本体1,500円)
ISBN 978-4-86272-175-4

中城ふみ子賞受賞作品を中核に、人間存在の意義を英訳歌と共に問いかける著者捨身の歌集(常磐井猷麿)

神の手に乳房落としし我が姿 慣れるしかないひとひらの鬱
having dropped my breast / into the hands of the gods, / I can only / accustom myself to this body /and a slight depression
虎の背を吹きゆくかすかな風の中 見えない明日を私は生きる
blowing on the back / of that tiger, / a faint breeze - / veiled within it is / the tomorrow I will live
鴨肉を捌けばくらき胸の中かつて飛びたる空がひろがる
when I turn over / the duck meat, / I see, spread out / on its dark breast, / the skies it once flew


明日も迷鳥

小嵐九八郎歌集『明日も迷鳥』

2010.5.30刊/四六判/224頁
定価1,296円(本体1,200円)
ISBN 978-4-86272-181-5

「その歌は全共闘運動で敗北した学生たちへのレクイエムなのだ。挽歌を詠まずにはいられない小嵐さんには、ある種の使命感、責任感のようなものがあるに違いない。」(笹 公人)

れーにんの柩の軽さに哭くおみな岬の風きてるーじゅ剥がれむ
ぶはーりんは処刑待つ地に帰りけり目隠しされて処刑されたり
とととんとん躊躇いかすれかみっぺら機器のすきから訃報をよこす
つかのまのメロンの甘みと地球史の謎を解かむと死を選りしか甥は


紅鷲

仲宗角歌集『紅鷲』

コスモス叢書
2010.5.10刊/四六判/208頁
定価2,880円(本体2,667円)
ISBN 978-4-86272-196-9

「私は少年時代の生活感情をひきずったまま、この歳になったようだ。それにこの奥熊野に棲んでいる。それらが自然との交流交感を自ずからなるものとしてきた。」(あとがき)

この一生みたされしなきくらき袋ボタン掛けつつ笑ひたくなる
腐れゆくたましひにあはれ匂ひ立つ『荒地』「ぎしぎし」渚の檸檬
山の霧しづかなれども雑木木の林に入ればおのづと音す
歌はずば言葉ほろびむ嗔らねば朽つる心と繰返しおもふ


にんじん雲

都築佑布子歌集『にんじん雲』

2010.6.18刊/四六判/180頁/
定価2,700円(本体2,500円)
ISBN 978-4-86272-200-3

生と死への切実な問いを幾たびも繰り返す心が、音楽や絵画との交歓のうちに、その問いに対する答えに出会ったのだろう。都築さんの歌は自在さを増す。(尾崎まゆみ・解説より)

葉桜の間より湧きし蝦夷白蝶五月の闇をくぐりくぐりて
通草の実うす目をあけて笑ひをりひと日ひと日の成り行きを生く
牡丹の酢づけを食みて宇宙の悲 胃の腑に知らしむぬるきはつ夏
生と死は同じことかも「レクイエム」命を讃へたるモーツアルト


芒種の雨

大塚健歌集『芒種の雨』

星雲叢書
2010.6.24刊/A5判/164頁
定価443円(本体410円)
ISBN 978-4-86272-205-8

「言うまでもないことであるが、日付や曜日は作品の一部ではない。ただ、一度は作品を完全に制作順に並べてみたいという願望があり、その実行を試みた。」(あとがき)

きさいの宮凌ぐいつきの宮あまたありて愉しき世をうかがいぬ 1/5(金)
無駄に生き無駄に死ぬるを恕されて芒種の雨の坂くだりきつ 6/2(土)
川の流れに真向かい風の流れあり戦後茂吉をおそいたる風 1/25(金)
ダイダロスならねば翼もつことも容易ならざるはつ夏の朝 5/30(金)


明日も迷鳥

塩谷千鶴子歌集『蓼咲く里』

東海短歌叢書
2010.5.27刊/A5判/232頁
定価2,700円(本体2,500円)
ISBN 978-4-86272-195-2

「長い後半生を、夫を思って生きる。作者によき時代の日本女性を感じる人は多いだろう。夫恋いの歌集と読んで欲しいように私は思っている。」(須永秀生「帯」)

一度だけ会いし人なればはぐれじと後へ従きゆきぬ 斯くて添いける
水底に空と雲とを沈ませてさくらひとひらひとひらと散る
三人の子の戦死せしを父母は掟のごとく語らず逝きぬ
短歌がありささえてくれる華道ありてあなたがくれし残生がある


ベドウィン・ブルー

中島央子歌集『ベドウィン・ブルー』

地中海叢書
2010.5.10刊/A5判/240頁
定価3,024円(本体2,800円)
ISBN 978-4-86272-197-6

「サハラに生きる人々の逞しさ、温かさは、心を引きつけて止まないものを感受しました。彼らの衣服の色ブルーは、乾いた空の青と呼応して印象的でした。」(あとがき)

拾ひたる巻貝ひとつ動きたり生きのびよとぞ沖へ投げやる
繋留の杭に並びて北を向く鴎の胸に白く風立つ
ラクダ曳く少年の後姿月かげにベドウィン・ブルーの衣遠のく
母ありし日のまま残る針箱に鶸色もある絹小町糸


明日も迷鳥

楯明香江歌集『嵌込みパズル』

コスモス叢書
2010.6.6刊/四六判/192頁
定価2,916円(本体2,700円)
ISBN 978-4-86272-198-3

樹木の管理に山に入って歌う職業詠・夫の死・現役引退後の旅行詠・趣味の素潜り等々、境涯の節目の時期を旺盛に歌う、表現力確かな作品群を推す。(奥村晃作「帯」)

ふり返る尾根に十日の月あかし今日の仕事のよかつたやうな
春の雪降れば思ほゆ母のわかく真綿を肩に着せくれしこと
蔓伐るにひびく鉈音うるほひて雪の下にも春ひそむらし
低くとぶ山鳥の点となるまでを尾根に見て佇つ職退きし身は