短歌研究社刊 最新刊歌集・歌書

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『天意』

山中ちゑ子歌集『かがりび』

中部短歌叢書
2010.10.16刊/A5判/200頁
定価2,700円(本体2,500円)
ISBN 978-4-86272-208-9

軍艦旗に包まれて逝った亡夫への思いが根源にありつつ、今を積極的に生きる悠然の境涯が多くの旅行詠や吟行詠の色彩感ある表現となった。(大塚寅彦「帯」)

花添へしインドネシアのスカーフをかがりびのごと巻きて子は発つ
金髪をきりりとしばり定置網を上ぐる若者海をつかめる
君よりの翡翠の大きペンダント花野にうたひ花野を駆ける
大氷河の溶けて流るるミルフォード遊覧船は雨に烟れる


『蓬歳断想録』

石本隆一歌集『花ひらきゆく季』

2010.10.6刊/A5判/176頁
定価3,240円(本体3,000円)
ISBN 978-4-86272-206-5

的確で揺るぎない描写、年とともに澄みゆく石本隆一の歌の境地

風今日も先に来ている竹林のベンチに冷ます胸うちの汗
土手鍋にふて寝のさまの牡蠣いくつ被ける夢もともに食むべし
街川に七夕飾り流れゆき明日に滲む祈ぎごとの文字
篝火草門扉に近く咲かせたり幸便の伝馬来るあてなけれ
寄り添える生前戒名やさしめど彫りゆるぎなしここ東禅寺
竹垣に蝸牛迹を輝かせ失せたるほどの生われにあれ


薔薇図譜

英保志郎歌集『瓊花』

青樫叢書
2010.11.19刊/A5判/192頁
定価2,916円(本体2,700円)
ISBN 978-4-86272-220-1

昭和45年、大和・柳生の庄に橋本比禎子師を訪ねて以来40年。
現在は「青樫」編集発行人を務める著者の満を持しての第一歌集。

眼を病みし和上の記憶に映したる花影は白きたまなす瓊花
千歳楽舞ふ少年の嫩々しいまだ男にあらざるものの
「色は光」のことば静かに流れゆく暁待つ穹の雲のあはひを
口中に死者の悲しみ包むごとしグラウンド-ゼロのzi‐rouなる韻き


アシンメトリ

藤田博子歌集『桜守』

運河叢書
2010.11.25刊/A5判/184頁
定価2,700円(本体2,500円)
ISBN 978-4-86272-223-2

「夫君急逝のあと三人の子女を育成されて、この夏満七十歳となった作者の生の足跡である。
柔軟で伸びやかな資質により、さらに新たな境涯を招くことであろう。」(山内照夫「帯」より)

絹鳴りに娘の帯を締め上ぐる確かなる力母われにあり
託されて守り来し二本の老い桜樹下にひそけきわが生の跡
雪にあひし花ゆゑ保つ時ながくことしの桜つひの輝き
わが終の仕事となさん用語辞典紺地に銀の箔文字と決む


夏母

安藤一雄歌集『伎藝天』

2010.11.3刊/四六判/144頁/
定価2,700円(本体2,500円)
ISBN 978-4-86272-216-4

短歌という詩形に魅せられて20年、
「自らの生の大小様々な可能性に触れては妙音を響かせる敏感な弦でありたい」(あとがき)
と語る著者の第一歌集。

今朝の夢に未曾有の日本語見出しぬ坪内逍遥訳シェークスピヤ
純粋な時間の流れを吹きぬけて風は光と海に溶け込む
人間に気づきてかろく驚ける伎藝天女のほの笑みたまふ
人の語のまさに生れんとする刹那とどめて天女は唇はつか開く


芒種の雨

佐藤紫櫻歌集『雪輪つづり』

2010.11.15刊/A5判/208頁
定価2,808円(本体2,600円)
ISBN 978-4-86272-218-8

「津軽では雪の季節があってこその春・夏・秋なのである。冬の季節をくぐる運命を許容し、雪に研がれた感性を大切にして佐藤さんは作歌に全力をそそいでこられた。」(福井緑「跋」より)

靡く葉はことごとく捨て穂首さえたまに捨ていつ雪を待つ蘆
雪晴れの間を飛び交うひよどりは梢の雪を小さく煙らす
夏茱萸の熟るるを食めば仄かなる渋味残りて偲ばるる妹
逃れ得ぬ雪天漠々月も日も吸われ果てたり津軽の里は


縁もつもの

佐久間裕子歌集『十三夜』

純林叢書
2010.12.12刊/四六判/168頁
定価2,057円(本体1,905円)
ISBN 978-4-86272-221-8

「『十三夜』は後の月と言いますが、完全より不完全を喜ぶ江戸の人の心意気と、
また先がありその余白を恃む心が自然と身についていたのかも知れません。」 (「あとがき」より)

南から桜・木の花と花御輿さねさし相模過りゆきけり
十三夜の月もの足らず十六夜に充たさるるとう齢にあらね
ハンドルを握りて走るわれのみの地図に旧き坂 旧き町の名
沼の辺に鎮みゆきしは限りなくさまよえる霊か夕べをくぐり


『海ひかる』

谷口ひろみ歌集『海ひかる』

2010.12.24刊/四六判/184頁
定価2,700円(本体2,500円)
ISBN 978-4-86272-222-5

絵師であった祖先に始まり、祖父母、父母、叔母達、娘達、そして孫達。
「一族の語り部」として詠む熱く深い心が、読者の胸に届く第二歌集。
跋・さいとうなおこ

あご細きわが一族を思うとき心かよわす新羅と百済に
母ありて円き卓袱台かこみたるかの春の日の青豆ごはん
手作りの絵本「スズメノス」のなかに亡き父の繊きペン画残れり
ながれゆく時間のままに人は老いて群青の海ひかるふるさと


『いのち』

宮崎信義歌集『いのち』

未来山脈叢書
2010.12.12刊/四六判/88頁
定価2,160円(本体2,000円)
ISBN 978-4-86272-226-3

「最後に宮崎に会ったのは亡くなる半月前。今回の歌集の原版を示して、私の手帳に遺言のように書き
込んだ。そこには、しっかりとした自筆で『いのち』と歌集の題までつけてあった。」(光本恵子「跋」より)

明治・大正・昭和・平成と口語自由律短歌の道ひとすじに生き抜いた宮崎信義の歌集。晩年の平成19・20年の作品を収める。

私のいのち見えるだろうか空を飛ぶ一羽の鳥のいのちが見える
水に溶けてゆくいのちがある田へひろがってゆくではないか
あなたの胸にいのちが見える両手をひろげて近づいていく
自然はすべてを引き受けてくれるそのままで何もなかったように


『紫の花穂』

宮城鶴子歌集『紫の花穂』

2010.12.15刊/A5判/208頁
定価2,571円(本体2,381円)
ISBN 978-4-86272-219-5

小学校教師の仕事と絵画制作、退職後は陶芸、いずれも熱心に取り組んできた著者が、
そこで学び取った表現技法を歌に生かして編んだ第一歌集。 跋・比嘉美智子

金色に咲きて輝きし向日葵の数多の種子を育みて佇つ
轆轤回し畑の草取る日日にして指輪なき指の節くれて来ぬ
新しき出会ひに心弾むなり受け持つ子らの名を記しつつ
沖縄の声の届かぬ空しさの伊集の花撃つ梅雨は激しく